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トピックス2014年10月23日

インフルエンザやそのワクチンに関する「10の神話と事実」とは?

2014年9月18日、米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control:CDC)は、2013年度、米国において、インフルエンザワクチンの接種率が半分に満たず、生後6カ月以上のすべての人に、インフルエンザのシーズンに向けて予防接種を促しました。
米国では、インフルエンザにより、毎年平均3万人以上が亡くなっています。
CDCは子ども、妊婦や高齢者の健康維持のために、インフルエンザやその他の感染症の予防接種を推奨しています。

さらに今年はCDCが初めて2~8歳の子どもに、噴霧型のインフルエンザワクチン(FluMistフルミスト)を推奨しています。
なぜなら、噴霧型のインフルエンザワクチンは、この年齢の子どもにとって、従来の注射より有効であることが証明されたからです。
噴霧型のインフルエンザワクチンは、生ワクチンです。残念ながら、日本ではまだ噴霧型のインフルエンザワクチンは厚生労働省で承認されていません。
ですので日本でフルミストを利用して副反応が生じたときには、医薬品副作用被害者救済制度が利用できない可能性があります。

避けるべき禁忌など、適応条件に関しては、ナビタスクリニック(鉄医会)の情報を参照すると分かりやすいかと思います。

さらにCDCは、65歳以上の人には肺炎球菌ワクチン(Prevenar13/プレベナー13)の混合ワクチンを推奨しています。
肺炎球菌は、肺炎の原因となり、そのため年間約5万人の米国人が入院しています。
日本でも2013年11月1日からプレベナー13が小児用肺炎球菌ワクチンとして定期接種化されましたが、米国では子どもの定期接種のワクチンになってから子どもたちの肺炎球菌による感染が激減しました。

CDCのトーマス・フリーデン所長は、次のように述べています。

「18~64歳の成人におけるインフルエンザワクチン接種率は3分の1程度にとどまっていて、この年齢のグループが特に、インフルエンザにかかることが分かっています。
また2013年は、100人以上の子どもがインフルエンザが原因で死亡しました。
死亡した子どもの90%はワクチン未接種だったのです。
死亡した子どもたちがインフルエンザの予防接種をしていれば、多くの感染が予防できた可能性があります」

また、CDCによると、米国において インフルエンザは、通常は10月に流行し始め、翌1月から3月の間がピークとなります。日本では、12月~3月頃に流行します。
ですので、例えばバーバード大学ヘルスサービスは、今年は9月15日から12月16日まで、ハーバード大学関係者に、インフルエンザワクチン接種を無料で提供しています。
無料で提供されているワクチンは不活性化されたタイプで、腕に筋肉内注射します(日本ではこのタイプが一般的)。接種後、体の免疫応答がはじまるまで、約2週間かかります。


■英国民保健サービスが提示した10の神話と事実とは?

私たちの健康を守るインフルエンザワクチンですが、それを取り巻く、さまざまな誤解や噂が流れています。
そこで、イギリスの国民保健サービス(National Health Service: NHS)は、インフルエンザやそのワクチンについて、10の神話と事実を提示しています。

●神話1:インフルエンザの感染は、重症な風邪のようなもの?

事実:ひどいインフルエンザの感染は、重症の風邪より深刻です。
インフルエンザの症状は、突然起こり、咳やのどの痛みなどだけでなく、発熱、悪寒、頭痛や筋肉痛も生じます。ですから、2~3日の安静が必要になります。さらに、インフルエンザの合併症を伴うと、重病化し、病院に行かなければなりません。

●神話2:インフルエンザワクチンを接種すると、インフルエンンザにかかる?

事実:いいえ、かかりません。
注射用インフルエンザワクチンは、不活性化インフルエンザウイルスですから、インフルエンザに感染しません。
注射した腕に多少の痛みを感じたり、数日間、微熱や筋肉痛を感じることもありますが、その他の反応は非常に稀です。
子どもの鼻噴霧用のワクチンは生ワクチンですが、活性が弱いため、インフルエンザに感染することはありません。

●神話3:インフルエンザは、抗生物質で治癒できる?

事実:いいえ、治癒しません。
インフルエンザの原因はウイルスで、抗生物質は、細菌感染に対して有効です。
インフルエンザを治療するためには、抗ウイルス薬が処方されることがあります。
抗ウイルス剤は、インフルエンザを治癒しませんが、他人への感染を減らし、回復が早くなります。
ただし効果を得るためには、症状が出現してから、1~2日以内に、抗ウイルス剤を投与しなければなりません。

●神話4:インフルエンザワクチンは1度接種すれば、一生大丈夫?

事実:いいえ、インフルエンザを引き起こすウイルスは毎年変わる可能性があります。
新しいウイルスと一致する予防接種が、毎年必要です。

●神話5:妊娠中は胎児に影響するのでインフルエンザワクチン接種すべきではない?

事実:妊娠のどの段階でも、ワクチンを接種するべきです。
妊娠中にインフルエンザに感染すると、母体や胎児に悪影響を起こす可能性が高まります。
また、妊娠中のワクチン接種で、産後は赤ちゃんを数カ月間、インフルエンザウイルスから守ることができます。
米産婦人科学会は、妊婦や妊娠の可能性のある女性に、インフルエンザワクチンの接種を推奨しています。

●神話6:インフルエンザワクチンはH1N1インフルエンザ(豚インフルエンザ)には無効?

事実:いいえ、有効です。
今年のインフルエンザワクチンは、一般に、H1N1豚インフルエンザウイルスを含む、3つの異なるインフルエンザウイルスを予防します。
なお、厚生労働省によると、日本において今年度の季節性インフルエンザワクチンは、インフルエンザA/H1N1亜型とA/H3N2亜型、B型の3種類が含まれたワクチンが接種できるとされています。

●神話7:子どもはインフルエンザワクチン接種ができない?

事実:月齢6カ月以上の子どもは、ワクチンの接種ができます。2~8歳の子どもには、噴霧型のインフルエンザワクチンを推奨します。

●神話8:すでに今秋インフルエンザに感染したので、今年の予防接種は必要ない?

事実:いいえ。
インフルエンザは、いくつかのウイルスによって引き起こされるため、それらのうちの1つだけに対して、
自然に免疫によって守られても、別のウイルスに感染することもあります。
ですから、最近インフルエンザに感染しても、リスクグループの方(65歳以上の方、妊娠中の女性、慢性疾患の方)にワクチンの接種を勧めます。

●神話9:10月にワクチンの接種をしなかったので、もうそれ以降は遅い?

事実:いいえ、まだ遅くありません。
ワクチン接種が利用可能になったらすぐに、接種することを勧めます。

●神話10:ビタミンCは、インフルエンザを予防する?

事実:いいえ、しません。これを証明する根拠がありません。

いかがでしょうか?
インフルエンザワクチンは、私たちの健康を守ってくれます。まだ今年は接種していないという方は、今からでも遅くないので、ぜひワクチンを接種しましょう。
2~8歳のお子さんをお持ちの方で、噴霧型のインフルエンザワクチンに関心がある方は、まず、専門医に相談してください。

(日経TRENDY 2014年10月14日 より引用)

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